《MUMEI》

「一葉!もうみんな帰ってるし迎えに来た…。篠崎じゃん。」

「よぉ。」

『サユ〜、ごめんっ。』

「…んーん。はい、荷物!」

『ありがとう。』

「俺の荷物は?♪」

「もちろんない♪」

「だよね。」

「そうだ一葉。稲田、行けるって♪」

『…そっか、良かった…はは。』

「…じゃあ俺向こうだから。またね♪」

『うん、またね〜。』

「ばいば〜い♪」



『あのね、サユ。稲田の事なんだけど…。』

「うんうん、どした?♪」

『たぶん勘違いしてると思うんだけど、あたし稲田の事好きとかじゃないから!』

「え。あんなに稲田と良い感じだったのに、今更恥ずかしがんなくていいって!(笑)」

『んーん、ホントに違うの!…好きな人なら、他にいるし。』

「そうなんだぁ…損した気分っ(笑)てか、好きな人いるんだ?♪」

『まあ…うん。でも、それは別のお話!』

「いいじゃ〜ん、誰?♪」

『…知らない!!』

「一葉〜♪♪」






夜。

花火の「ッドーン!」をBGMに塾を過ごした。

去年は授業中に、花火が終わる最後の5分間だけ見させてくれたんだけど、今年は花火が見える3階の教室が使われていた為に…残念ながら。

とりあえずサユの誤解は解けたな〜なんて思いながら帰って来た。


そして今、布団に入ってさあ寝るぞって時に。

場違いな電話のバイブレーションが反応した。


ブーッ ブーッ ブーッ


…篠崎大和!!


「テスト」


ブーッ ブーッ ブーッ


「オヤスミ。」



…。



お休み、恥ずかしくてサユには言えなかったあたしの好きな人。



お休み、…第二のエスパー!

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