《MUMEI》 あれからほんの数日。 篠崎からの受信はあれっきり。 緊張しなくて済む安心感と…交換した初日には着たのにってどこか物足りなさと。 ところで今日は、市内で一番大きな花火大会の日。 例の、1日のってやつ。 今日の部活が終わったら、帰って準備してちょうど良い時間に待ち合わせになってる。 『ね、稲田。今日告るの?』 「様子見て。」 『ほら、そんなんじゃダメ!告るぞって意気込めばいいのに!』 「つか、お前居るし。」 『あたしはドタキャンするから安心して。』 「…まじかよ。」 『てか、稲田がちゃんと先にサユに声掛けてなかったのが悪い。』 「だな…ごめん。」 『あー、なんか緊張する!』 「なんで大島が(笑)」 『稲田が緊張してるから。』 「あのさ、告るぞって意気込んでくもんなんかな?…訳わかんなくなって来た。」 『ん〜と…どうなんだろう…。でもやっぱ雰囲気とかは…ん〜…。』 「おい。さっきまでの勢いはどうした(笑)」 『…人の事気にしてる場合じゃないでしょ!』 そうだ、告白ってどうやってするんだろね? あ、さつきも去年いたんだよね、彼氏。 さつきが告られて、最後はさつきが振った。 確か理由が…"くどい"。 「お前も告ったら?♪」 『…あたしはそういうのはいい…かな。』 「…へぇ。」 『じゃあ後でね!…じゃなくて、健闘を祈るっ。』 『サユごめん!!今日用事入って行けなくなっちゃった…。』 「え、一葉まじで?!てか稲田と二人とかあり得ないんだけど!」 いや…二人になってもらいたいんです…。 ごめん! 『ホントごめん!』 「…良いよ♪仕方ないじゃんっ。こうなったらさつきに賭ける!」 そう言ってサユは、隣のコートで部活を終えたさつきの所へ駆けて行った。 ごめんサユ、さつきには既に… 前へ |次へ |
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