《MUMEI》

「おい、翔子の写しを見せてみろ」

スーツ姿の人が、すぐに翔子さんが印を付けた地図のコピーらしき物を持ってきた。

原本は、国で災害を担当している偉い人の手に渡るらしい。

一番大きな印の、場所には『守護神』が向かい

それ以外には、その偉い人の部下…いわゆるレスキュー隊のような人達が向かう
という仕組みらしい。

ちなみに、一番偉い人以外は、『守護神』の存在は知らない。

ただ、『国おかかえの、優れた気象予報士』と説明しているそうだ。

確かに

『生き神様のお告げ』より

『気象予報士の予測図』の方が

普通の人間は納得するだろうと私も思った。

私は、先生の採点を待つ生徒のような気持ちで、神君を見つめていた。

しかし、神君は

「…今日はお前の出番は無い。
屋敷に戻れ」

とだけ言った。

そして

「生き血を与えるのは構わないが、お前が倒れたら、元も子も無い。

ちゃんと、お前自身の栄養管理を徹底しろよ」



付け加えた。

私は、思わず首筋を押さえた。

そして、神君に言われた通り、屋敷に戻った。

結局、私はその日『守護神』として何の仕事もしなかった。

だから、私は失敗したのだと思った。

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