《MUMEI》

「な、その男俺より格好良い?」





加藤は一瞬真顔になり





「ヒャハハハハ!ヒーッ!!バカ!バカみてー!ヒャハハハハ!」





「なっ!何だよ!」
「だって焼き餅〜!




バカみて〜!裕斗に焼き餅!!」




「妬くに決まってんだろ!バカバカ言うな!」




「だって〜!つか裕斗と内藤じゃ月とイボ猪?今あんなん美形に敵う男は隆志ぐれーだしな!」





「裕斗って…まさか坂井裕斗?」



「うん、そ」





坂井裕斗…





局のエレベーターで一度一緒になった事がある。



背がそれなりに高くて、顔なんか小さくて、やたら整った顔だった。




あの時は、さすがハーフは違うとジロジロ見てしまった。



服装なんかも、スタイルによほど自信がなければ着こなせないものだったし、身につけているアクセも、流行りに惑わされないと言いたげな俺には考えつかない上品なチョイスだった。



この人見習いたい!
見習うぞ!
と何気なくその時からイチ、ファンになってしまっていた。
「…敵わねーじゃん…」



はあ、終わった。





「ねー、肉買いに行きたいんだから帰って!」



「分かったよー」







加藤の手料理か…、






妄想の中じゃー何度も失敗作を美味しいって食べている。






坂井さんは本物を口にしてるのか…ああ、






羨ましい…。

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