《MUMEI》
海斗
「沙那。居るかぁ?」


ゴンゴンと窓を叩きながら叫ぶ、幼馴染み。


「海斗。窓から入ってこないでって言ってるでしょ!」


庭の樹から窓へよじ登ってくる奴。コイツが噂の、本をくれた幼馴染み、三浦 海斗(ミウラカイト)。



……で、私の名前は、桃花 沙那(モモカサナ)。



「沙那。まだその本持ってたの?」



海斗は私の机の上に置いてあった、あの本を指さして言った。


「あぁ。今日、りっちゃん(友達)が来てたから。」


私はスクッと立ち上がり、本を手にとって、再び座った。

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