《MUMEI》
さっき電話で話てた時みたいな笑顔…か、可愛い!!
俺に!
俺に自然な笑顔!!
「き、気持ち良い…」
加藤は一瞬で真顔になってしゃがみ込んできた。
「お手」
「?」
俺は加藤の手の平に手を乗せた。
「…めっちゃアホ…」
「え?」
間近に迫った加藤の顔。
僅かな風でサラサラと髪が揺れている。
可愛い…、
そしてさっき触れた唇が…動く…。
「しょーがない、付き合ってやるよ」
「…?え……か、え?」
加藤は柔らかく微笑んで立ち上がった。
「そのかわり俺の許可ないかぎりキスも禁止!分かった?」
「か、加藤〜っ!!」
――一緒に買い物しながら聞かされた。
坂井さんとは親友の関係。
しかも坂井さんには恋人がいるらしい。
▽
自宅に帰って来て携帯を開ける。
よし、携帯に加藤のアドレスが入っている!
ちゃんと現実だ!
これは妄想なんかじゃない!
寝る前に今日は加藤を抱かなかった。
そのかわり枕に向かってキスをたくさんした。
あの唇の感触を思いだしながら……。
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