《MUMEI》

さっき電話で話てた時みたいな笑顔…か、可愛い!!





俺に!



俺に自然な笑顔!!



「き、気持ち良い…」





加藤は一瞬で真顔になってしゃがみ込んできた。





「お手」




「?」





俺は加藤の手の平に手を乗せた。





「…めっちゃアホ…」




「え?」





間近に迫った加藤の顔。




僅かな風でサラサラと髪が揺れている。
可愛い…、




そしてさっき触れた唇が…動く…。





「しょーがない、付き合ってやるよ」





「…?え……か、え?」





加藤は柔らかく微笑んで立ち上がった。




「そのかわり俺の許可ないかぎりキスも禁止!分かった?」
「か、加藤〜っ!!」





――一緒に買い物しながら聞かされた。





坂井さんとは親友の関係。






しかも坂井さんには恋人がいるらしい。











自宅に帰って来て携帯を開ける。




よし、携帯に加藤のアドレスが入っている!





ちゃんと現実だ!





これは妄想なんかじゃない!







寝る前に今日は加藤を抱かなかった。






そのかわり枕に向かってキスをたくさんした。







あの唇の感触を思いだしながら……。

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