《MUMEI》 ッドーン! ドンッ ドーン! これ、遠くの花火の音。 『…ごめんね、さつき。』 「ん?いいよ、あたしは断るだけだったし。」 『あたしは…嘘付いて、謝りっぱなしだ(泣)』 「まあ…人の為に動けるのが一葉でしょ。」 『え?』 全く身に覚えがございません。 「…いいのいいの。」 なんなんだ…。 『てか、さつきはこんなとこに居なくてもいいんだよ?』 「いや、お婆ちゃんちに行くからって断ったし。てかこんなとこって!(笑)」 『そうなんだ…あ、いや、ごめんっ、違っ…。』 ここは、さつきんちの屋根の上。 屋上じゃなくて、屋根。 花火は大半が見えなくて、花火で染まった空の色は見える。 あと、音。 「また謝るし!(笑)稲田は大丈夫そうなの?」 『なんかね、行く前から少し緊張気味だった♪』 ブーッ ブーッ ブーッ 『あれ?…篠崎?!』 「あ、電話?」 『どうしよ?!』 「出たら?」 『何喋るの?!』 「さあ?いいから早く出なって!(笑)」 …声裏返りませんように! 『(はいっ…。)』 「(一葉?良かった、繋がった。)」 後ろに一味の声も聞こえる。 『(ごめん。どうしたの?)』 …さつきがニヤニヤしてこっち見てる。 「(いや…一葉さ、稲田たちと花火行くんじゃなかった?二人は見かけたんだけど、一葉居ねーし。迷子になってんじゃないかなーって♪)」 『(違っ…迷子になんかなってないよっ!今日は…)』 「…っはは!(笑)」 「さつき…!」 「(え、何?とにかくさ、どこに居んだよ。今あいつら見つけたから待ってて貰う。)」 『(だめーっ!!)』 「(は?)」 『(いいの、今日はあたし行ってないの!だから二人はそっとしといて!)』 「(…そうなんだ?なら良いけど…用事でも出来た?)」 『(んーん、そうじゃなくて…。)』 「(なんだよ(笑))」 『(…何もないけど、花火のあのお祭りの会場には行けないだけっ。)』 「(なんで?こういうとこ嫌いなの?)」 『(花火もお祭りも好き!今…屋根から花火見てるもん。)』 「(へぇ〜…。よくわかんねーけど、そこから綺麗に見える?)」 『(綺麗な空の色は…ね。)』 「(見えてないね(笑)用事はないんだろ?今からこないだ花火やった公園に来て♪俺も抜けて行くから。じゃあ後で♪」 プーッ プーッ プーッ …。 『さつき助けて!しぬ!』 「たぶんしなないと思う(笑)」 『一緒に行こ!』 「…どこに?」 『公園!…篠崎と。』 「やだ(笑)二人っきりになれるチャンスでしょーが!」 『だからやなの!…チャンスって何?』 「普通喜ぶもんなんだけど。稲田を見習って告っておいで♪」 『むりむりむりむりむり。て言うかね、告白とか…しないよ?いいからお願い!!一人より二人!二人より三人!でしょ?!』 「はぁ…。」 前へ |次へ |
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