《MUMEI》 その夜。 「ごめんね、晶」 私は、布団に入ってきた晶に謝った。 せっかく手伝ってくれたのに、私はやはり『守護神』として未熟なのだ、と。 『いいえ、主』 しかし、晶はそんな私にきっぱりと言い切った。 『主は当主に言われた役目をきちんと果たしました』 ―と。 「…でも」 『当主には、何かお考えがあるようです。 それに、あの程度でしたら、主が出る必要はございません』 「…そう?」 『そうです』 「なら、いいけど…」 『はい。 では、主。 本日の栄養を頂いてもよろしいでしょうか?』 「あ、うん」 そして、私は首筋を出し、目を閉じた。 『では…』 「…っ…」 やっぱりチクッとして… ゾクゾクした。 しかし… 晶はすぐに、私から離れた。 私は目を開けて 「…終わり?」 と、晶に確認した。 『はい』 (良かった) 今日は首筋だけで、量も少なく、ホッとした。 『出番の無い日は、これで十分です』 出番… 私が『守護神』として、晶で何かを斬る、時。 (本当に、そんな日が来るのかな?) 私は、そんな事を考えながら、晶と一緒に眠った。 前へ |次へ |
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