《MUMEI》
焦燥感
加奈の彼氏は地元の大学に通いながら、友達とバンドを組んでいるらしい。


「明日、彼氏のライブがあるんだけど、一緒に行かない?」


加奈の彼氏がどんな人か興味はあるし、会ってみたい・・・。

けど、二人の幸せぶりを見せ付けられるような気もして、なぁーんとなーく気が乗らなかった。


「うーん、どうしよっかなぁ・・・」


テンションの低い私の気持ちなんてお構いなしに、


「彼氏に美樹子を紹介したいしさ!行こうよー」


半ば強引に「うん」と言わされた。



初めての彼氏だし、見せびらかしたいんでしょ、どうせ。



加奈の幸せを喜ぶ気にもなれず、卑屈な気持ちになっていた。




きっと、これが中学や高校だったら違ったんだろうな。

次こそ私かも!

なんて昔は希望が膨らんで・・・

しかもHなことなんかも興味しんしんに聞いちゃったりして。



だけど、今は違う。

もうすぐ19になる女が「彼氏いない歴=年齢」で、しかも処女。

処女の方が少ない年齢になっちゃうよ。

もしかしたら処女ってだけで男の子から引かれちゃうカモ。


そんなの私のプライドが許さない!!!


いっその事、処女だけでもなくしちゃおうか・・・

でも相手がいないし。。。

こんなことなら小川君とやっときゃ良かった。

もしくは敦君ととりあえず付き合っておくとか・・・


も、もしかして・・・


坂田君は私が処女だって気づいて、
  「うわっ、面倒くさそう」
なんて思って去っていたったんじゃ・・・



あぁぁぁぁぁーーー
なんだか、すっごい焦るぅぅぅーーーっ!!!!

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