《MUMEI》

(あれ…?)

私は、南の位置に見覚えがあった。

確か、私がまだ施設にいた時に…

ここに、花丸を付けた男の子がいた。

あれは、

「じゃあな!ゆき!
俺、頑張るから」

『青』のまま、そう言って私の元を去ったのは…

―透。

施設にいた『最後の男の子』が、『里親』のいる位置を、花丸を付けて、教えてくれた事を私は思い出した。

「…やっぱり、北よね」

「あぁ」

「風を斬っても、津波が起きるのは止められないかもしれないから、神、お願い」

「左近を連れていけ」

(北…?)

じゃあ、南は。

透のいる

南は…

『主』

「晶、私…」

私は、透を守りたかった。
「できるかな?」

『主が、望むなら』

私は、立ち上がった。

「おい、どこに行く?」

神君の言葉に私は

「南に」

と答えた。

そして、…

次の瞬間。

私と晶の姿は―

南に来ていた。

「『守護神』ってすごいのね」

こんな超能力があるなんて。

『すごいのは、主です』

晶はそう言った。

「よし、とにかく、透を守らないとね」

私は、早速仕事にとりかかる事にした。

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