《MUMEI》

ゆきと晶が消えた後。

「消、えた?」

翔子は目を丸くし

「おいおい、マジかよ」

明良は辺りを見渡し

「ゆきちゃんて、実はすごいんじゃない?」

「…すごい」

右近と左近は『すごい』を繰り返した。

「うるさいぞ、お前達」

そんな中で、神だけが冷静だった。

「とにかく、翔子は左近を連れて北に行け。

俺は

南に行く。

いくぞ、『姫』」

『はい、主』

そう言って

神と『姫』は

ゆきと晶のように

消えた。

「仕方ない。行くわよ、左近」

「仕方ない」

翔子と左近と疾風と水は

翔子の作り出した風と共に
舞い上がり

北へと向かった。

「さて、俺らも行くか」

「地味に、普通にね」

明良と右近は、その様子を見守った後、敷地内にあるヘリポートに向かった。

左近も含めた三人の男の『守護神』は、移動にはそれぞれ専用のヘリを使用していた。

ただし、このヘリには、左近と翔子の力が定期的に込められている為

風や雨の影響をまったく受けなかった。

瞬間移動などという

超能力が備わっているのは
今まで

御剣の歴史の中でも

数える程しかいなかったのだ。

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