《MUMEI》

かえでが急に男の子と揉み合いの喧嘩を大人数で始め、更にその最中に雨が降ってきた。
頂上には休む場所があるから先生達は皆を雨合羽に着替えさせ急いで上を目指す。


七生は先生が目を離している隙に立入禁止のロープを無視して獣道を飛び出して行く。



七生は大木の根元に荷物を置いて上から先生達を見下ろしていた。

「行ったか……」

「ななおくん……こっちおいでよ。おいてかれちゃうよ?」

七生は時折気配を消しては瞬間移動のようにあちこちいなくなり大人を困らせて楽しんでいた。
俺はそんな七生の一挙一動に目が離せなかった。

「アホ!ついてくんな!」

七生は一人の時間を大切にしていて、俺には逆にそれが皆と遊びたいという気持ちの裏返しに思えた。

「そこから、どんなふうに見えるの?」

七生のことを知りたくて、木にだって上りたかった。

「上ってくるな!」

俺が下でバタバタしたせいで七生はバランスを崩して落ちていく。

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