《MUMEI》
渇き
『何故、主に無茶を?』

腕の中で眠るゆきを見つめながら、晶は神を睨んだ。
通常、風の『守護神』と水の『守護神』の二人で対処すべき災害をゆきは一人で行ったのだ。

倒れる事は、神にも予想はついたはずだった。

「俺の役目はそいつの手助けではない。

…監視だ」

『何ですと?』

『つまり、小娘が守護神として役に立つか立たないかを見極めるのが、主の役目じゃ。

よいではないか。

これで、小娘は

他の守護神の餌にならなくて済む』

『主を侮辱するな!』

晶が叫ぶと、神と『姫』が二人に近付いた。

「実際、そうだろう。その為に、こうして美しく生まれてくるのだから」

神はゆきを見つめた。

本人は自覚は無いが、女の『守護神』は男を誘う要素をいくつか持っている。

『姫』との行為に慣れている神でさえ、ゆきにはそそられるものがあった。

『汚れた目で主を見るな!』

『そういう、お主はどうなのじゃ?

我等人型の最高の好物は、主との交わりによる精気ぞ?

欲しくないのか? 小娘が』
怒りに震える晶に、『姫』が囁いた。

そして

『わかるぞ、妾には。
お主の、渇きが』

と続けた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫