《MUMEI》

『主が…
望まぬ事は、私には…』

ゆきを抱き締めて震える晶に、

「言っておくが、その状態のお前が生き血を吸えば、下手したら、そいつは死ぬぞ」

神は冷たく言い切った。

『お主の力が弱くなれば、他の守護神が、小娘に手を出すぞ』

『姫』がまた、囁いた。

「大体、何でこんなに強情なんだ、こいつは」

神には理解できなかった。
神は、『姫』とも、あの『桃色軍団』とも、経験がある。

彼女達は、皆喜んで足を開いた。

だから、ゆきのように『拒む女』がいることを、知らなかったのだった。

『…わかりません』

「…まぁ、いい。
とにかく、無事にここで生き抜きたければ、生き血より精気を与えろと

『当主命令』だと、そいつに伝えろ。

『守護神』は、『当主命令』は絶対に守れと」

『わかりました』

「それでもとやかく言うようなら、……と、伝えておけ。

帰るぞ、『姫』」

『はい、主』

晶は、二人が消えた後。

『では、戻りましょう、主』

晶は眠っているゆきにそう言って

一瞬の間に

『守護神』の屋敷に戻った。

晶は呟いた。

『主は、…許して下さるでしょうか?』

―と。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫