《MUMEI》

「…大体こんな感じで良いんじゃないかな??
また何かあったら追加すればいーんだし」


『…だな。じゃーおれ、本格的に眠いから…』


「おれ、じゃなくて…」


『…じゃあ、ワタシ、本格的に眠いから!!』


「うん、あ!!…明日、いつも私が乗ってる電車に乗ってよ??」


『…私じゃなくてー…??』


「…おれの乗ってる電車、に乗って!!」


『了解〜。じゃあ、切るから』


「うん、じゃあ、おやす―…」


『あ!!ストップ!!』


「―え??」



私をひきとめた椎名くんは電話から離れたようで、
電話の奥のほうで、何かごそごそと音がする。


しばらくして、




『きゃんきゃん!!』


「…ゴジラ!?」



椎名くん、わざわざゴジラを電話に出してくれたんだ…



『…おう!ちゃんと元気だから、コイツ。
…いって、こら、爪たてんな…』



電話器の向こうで、ゴジラと奮闘してる姿が目に浮かぶ。



「…ありがとう!!」


『おう。じゃあな。』
『きゃん!!』


「おやすみ。」



電話を終えた後私は、自分の胸に、
何か暖かいものが広がっていくのを感じた。


…明日は、頑張ろう。



きっと、大丈夫。



―…なんでだろう。

根拠も無いのに、そう思えた。

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