《MUMEI》 1階は静まり返っていた。 顔を洗って歯磨きを済ませると、 不安が胸をよぎった。 …お弁当と朝ごはん、どうしよう… 私作れないし… 椎名ママ起こすわけにもいかないし… 朝食、抜きで行くか… お昼ごはんは、学校で買えばいいし。 朝食とお弁当は諦めて、私は駅へと歩き始めた。 10分ちょっと歩くと、駅に着いた。 でも、いくら待っても椎名くんが来ない。 電話にも出ないし… ついに、電車が来てしまった。 寝坊したのかな…?? 電車に乗り込んで窓から外を覗う。 そして、発車ベルが鳴り始めたとき。 「―ス、ストップ!!乗りますのります!!!」 『私』が、ダッシュしてきた。 そのまま乗り込むと、電車は走り始めた。 「…セーッフ…!!」 満足げに言う椎名くん。 セーフ、じゃない!! 仮にも見た目は私なんだからね!? 私は恥ずかしくなって、 肩で息をする椎名くんに近づいた。 前へ |次へ |
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