《MUMEI》
くりすますには
「クリスマス……」

突然、七生が訪ねてくるときは良くないことが多い。

「そう、どうする?」

「どうもこうも毎年同じだよ。家族で祝うし。」

知っていることを聞くな。
ちゃんと答えたのに何が不満なのか七生は俺の頬をぐにぐにし始めた。

「ニブニブめ……これはカップル特有の[クリスマス一緒に過ごそうねカッコハートマーク]の枕詞だろ?」

七生的お誘いだったのか。しかもカッコハートマーク付き。

「バイトよく休めたね。」

稼ぎ時なのに。

「ふふふ。恋人と過ごすって言っておいたからね。」

照れる様子も見せず言われてた。
まだ七生と付き合っていることが信じられなかったりする自分がいる。

「それ、誰のこと??」

ボケてみた。
言葉よりも早くヘッドロックをかけられる。

「ほまへら馬鹿!」

後頭部に噛み付かれた。

「痛い痛いギブ!!」

絞めてる腕を叩いて解放をせがんだ。
緩めて振り向いた瞬間に口づけされた。

「マイッタか?」

満面の笑みで返されては怒る気にもならない。




「あら、七生君こんなとこにいないで入りなさい。」

母さんが物音に気が付いて起きてきた。0時回ってたので流石にそれは……

「いや、もう終わったから。おやすみー」

やるだけやって去って行った。

嵐のような男だ。

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