《MUMEI》
作戦
「ただ、それが事実だとすれば、俺らの立場はもっと悪くなる。
あの刑事は、意図的に自分が事件に関与している事を隠しているとしたら、それを調べようとしてる俺らを警戒するに違いない。
となると、アパートに近付くのは困難を極める。」

「どうすりゃいいんだよ…」


洋平は頭を抱えて、絶望的な声を出す。


早く原田美和子の頭と脚を見つけなければいけないのに…


徐々に近付く自分達の死期に、洋平だけでなく美樹も優香も、ただならぬ焦りを感じていた。


「まぁ聞け。」


司が落ち着き払った言い方をすると、三人は少なからず安堵の表情を見せる。

そうなる事を知っていたから、自分だけは焦りを見せる訳にはいかなかったのだ。

だが内心、司も焦っていた。


「アパートの捜索は続ける。ただ、さっきも言った様に刑事の邪魔が入ったらマズい。
そこで、次はアパートと刑事で二手に別れたらどうかと思う。
一組はアパートの捜索、もう一組は刑事の見張り番。」
「刑事を尾行するって事か?」

「その通り。刑事がアパートに近付きそうだったら、そこにいる二人に連絡する。」


誰も反論する者はいなかった。
皆黙ってゆっくり、しかし力強く頷いた。

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