《MUMEI》
お酒の力
「美樹ちゃんの家、どの辺?タクシー捕まえるから」


「え〜帰るのぉー」


家に帰ると現実に戻るような気がして帰りたくなかった。


「まだ帰りたくない!」


大ちゃんも困っている。

でも酔っ払いの美樹子を心配して・・・


「また次、また飲もうよ。だから今日はお開き!」


一生懸命に美樹子を説得する。


そうやって美樹子を家に帰そうとするほど、美樹子は大ちゃんと一緒にいたいと意地になった。


「大ちゃんと一緒にいたい」


普段なら思っても言わないようなことを言って、言った後に美樹子自身もビックリした。


お酒の力って・・・



「この酔っ払いがぁー」


大ちゃんは酔っ払いの相手になれているのか、適当にかわす。


突き放されるほど美樹子は大ちゃんと一緒にいたいと思い、更にはキスしたいと思い始めた。


「大ちゃん、キスして」





しばらくの沈黙の後・・・


「じゃ、俺の家に行こうか・・・」


大ちゃんが言った。

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