《MUMEI》
夢見心地
私はドキドキしながら
人数分のお酒をつくりグラスをみんなに渡す。
「いただきま〜す」
みんなでグラスをカチンッ
乾杯!この出会いに乾杯!
私は右どなりの彼をチラっと見る。かなり酔っぱらってる様子。なにかしゃべらなきゃ、ドキドキ、ドキドキ、何しゃべったらいい?わかんない!
すると私の向かいに座っていた5人組の中で唯一私が知っているHくんが私に話しかけてきた。
「おまえ〜こないだの集会きてたべィ」
集会とは暴走族の集会。私はたまに知り合いの暴走族のOBに単車の後ろに乗せてもらい集会に連れてってもらってた。Hくんは単車の運転、コールがうまいで有名だった。見られてたのか・
「うん、行ったよ〜」
と返すと右隣りの彼が
「不良じゃ〜ん」
と私に話しかけてきた。
アナタに言われたくないけどィ
まゆげ細いし髪型にいたってはパンチじゃん!
「そんな事ないし!うちギャルだし〜」
と彼を見て言い返した。しゃべっちゃった!
ドキドキ、ドキドキ、酒が足りない!
私は自分のグラスにアルコールを足し、ググッと飲むと緊張をかくすようにタバコに火をつける。Hくんは私たちに言った。
「おまえらさ〜、付き合っちゃえよ!」
・・・・・ィィ
はィなに言ってんのィ
この人たち・・・。
すると5人のうちのあとの2人も便乗して
「そーだよ、付き合っちゃえよ!」
確かに一目惚れしたさ!
ビビっときたさ!
けどいくらなんでも初対面で付き合うほど私は軽くない!時間をかけてお互いを知り、好きだと再確認してからじゃあ付き合いましょうか、ってなるのが普通でしょ!?
完全にこの人たち楽しんでるよね。
3人はさらにあおる。
右どなりの彼は
「じゃあ付き合っとく〜?」
と笑いながら言った。
いくらあおってる3人が自分の先輩だからってアンタそりゃ適当すぎませんかね?私こんなのに惚れちまったのか、しかも瞬間で。
顔はブサイクってわけではないがかっこいいわけでもなく、細いまゆげにパンチパーマ、目はたれ目。少し分厚い唇。けど優しそうなそして芯の強そうな男。
私はまたアルコールを足す。
「いいじゃん、付き合っちゃえばさ。ヤンキー同士お似合いだよ!」
最初は驚いたけど、なんか嬉しくなってきて、しまいには私、もっと言え!もっとあおれ!なんて心の中で思ってしまった。
彼はとゆうと、酒の入ったグラスには手をつけず、肘を椅子の背もたれにかけて、俺はいいよ的な顔して余裕こいてる。
あぁ、アンタ酔っぱらってるんだっけね、酒のノリでいいよとか言ってるわけね。
少し悲しくなったが私だってもうかなりの量を飲んでる。私も酒のノリで
「うん、付き合おう促
と言ってしまおうか!
するとHくんが
「とりあえず番号交換しろよ」
と、この状況に1番適した素晴らしい事を言ってくれた。
私はナイス!!と心の中でガッツポーズをし、けれど平然を装い笑顔で
「番号教えて?」
と言った。彼の言う番号をすかさず紙にメモった。店は閉店の時間となり、ごちそさまをして彼らを見送る。立ち上がった彼は背が高かった。
短時間で私は本気で彼の彼女になりたいと思っていた。てゆーかなれる気がしていた。女の勘かな、何かを感じた。それが運命であるように祈るよ。
「あっ、そうだ!名前教えて!」
見送る際に名前をまだ聞いてなかった事に気がついた。
「俺?司だよ。」
「うち、ヨシカ。店終わったら電話するね!」
ありがとうございました〜
店の前で彼らに手を振った。ありがとうHくん。
なんて素敵な日なんでしょう!

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