《MUMEI》

「善は急げだ!さっそく…」

「いや、明日にした方がいい。」


スクッと立ち上がり、やる気を見せる洋平を司はすかさず制止した。


「何でだよっ!」

「周りを見てみろ。真っ暗だろ?」

「あれ…いつの間に…?」

話に夢中になっていたせいか、日が暮れている事に気付かなかったのだ。


「こんな暗い中、あの廃墟に入り込むのは危険だ。
たたでさえ、俺ら命狙われてんのに…。
それに、肝心の刑事の居場所がわからないだろ?もう家に帰ってるかもしれないし。」

「…まぁな。」


司に説得された洋平は、今度は意気消沈した様に元の場所に座った。


「で?」

「ん?」

「ん?じゃねぇよ。明日、俺らはどう動いたら良いんだよ?」

「あぁ。明日のペアも今日と同じでいく。
役割分担だけど、俺と優香がアパート、司と美樹が刑事の尾行だ。」


三人は無言で頷く。


「ただ、あの刑事が見つからないとアパートの捜索は難しいから、その間俺らは調べものをする。」


また三人は無言で頷いた。

「それともう一つ。
皆、今夜は俺の家に泊まってくれ。何かあったらすぐ助けに行けるように。
今はお互い、一人にならない方がいいと思うんだ。」

司は一人になるのが怖かったのだ。
それは他の三人も同じ。




四人は一斉に立ち上がると、司の家へと向かった。

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