《MUMEI》 『神尉様は、風と共に、雷の資質も兼ね備えた尊きお方であられた』 鳴神は、父を思い出すように、目を細めた。 「雷…」 『そうじゃ、姫。神尉様が亡くなり、新たな風の守護神が生まれ、我の風の力は失われたが、雷は、まだ残っておる。 神尉様は、姫を心配されておってのう。 命尽きる前に、我を姫の護衛に付けた』 「そんな事、できるんですか?」 自分の、『剣』の分身を他人に移すなんて。 『全ては、姫に対する神尉様の深き愛がなせる業じゃ。 姫が生きているのも、神尉様の最期の風の力のおかげじゃぞ』 「私が…」 『姫を事故現場から、運んだのは、神尉様じゃ』 事故現場から、姿を消した生まれたばかりの私。 『そうでしたか』 『そうじゃ、感謝せよ』 鳴神は、あぐらをかいて座り、胸を張った。 姿は私だから 何だか変な感じだった。 『ありがとうございます』 『それより、分身の存在で、姫を襲うとは何事じゃ! 我は姫を他の守護神から守るつもりでおったのに 小僧が一番危険ではないか!』 「あ、あの…でも」 『しかし』 『黙れ!』 弁解しようとする私達に、鳴神が怒鳴った。 前へ |次へ |
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