《MUMEI》

「いけないよ、あの柵の先には出るんだから。」

慶一が慌てふためく。

「獣か……」

「違うよ、幽霊さ。」

あまりに真面目な慶一の返答に、林太郎は吹き出してしまう。

「嗚呼、信じていない顔をしているね?」

「いや、急に言われたら誰だって笑ってしまうさ。決して信じていない訳じゃないぞ。」

林太郎は慶一がふて腐れる前に弁解しておく。

此の界隈では知らぬ人はいない程、〔柵の向こう〕は有名だった。


「捨てられて悶死した若い妾の啜り泣く聲が聞こえてくるんだよ。」

「じゃあ、母に会えるかもしれない。」

心霊現象類は長年の土蔵に閉じ込められる罰則経験によって、半信半疑な林太郎は巫山戯ける余裕さえ見せる。

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