《MUMEI》
ひまつぶし
家に帰ったら母親がすごい形相で美樹子を待っていた。


「あんた、今何時だと思ってるん!?」


「何時かなぁ〜?あ、電話するとこあったんだー」


言い訳をしながら階段を駆け上がり部屋に入った。


下から「連絡もしないでブツブツブツブツ」と母の声が聞こえたが無視した。






鈴木に電話すると寝ぼけた声で鈴木が出てきた。


「あ、昨日ごめーん。電話気づかなくって。なんかあったん?」


「ん?何もない…あぁ〜ねむっ。」


なんかムカつく…


「じゃ、なんで電話してきたの…?」


「ん?…暇だった」


「暇潰しかぁーいっ!」


鈴木って毎度のことながら失礼。ホント腹が立つ!


でも電話を切る気にはならなかった。



「私ね、山口に帰ってるんだ。鈴木は?京都?」


「んー、俺は来週かなぁ。お盆に帰る。それ以外は京都」




そんな他愛ない話をして、最後に鈴木が言った。


「京都に帰って来たら教えて。遊ぼ」



え…、マジで…
なんか、すっごい嬉しい。


そして鈴木が続ける…


「最近、女と遊ぶの疲れたし…」



むっかつくー!!
それってどういう意味よー!!
さっき喜んだの撤回。



「あ、気分害した?」


「えっ?別に」


ていうか、男と遊べばいいじゃん!!


「あぁー怒ってるー」


鈴木が甘えた口調でからかう。




「わりぃ、わりぃ、怒んなって。別に悪い意味で言った訳じゃないから。」


「じゃ、どういう意味よ!」


つい語気が強くなる。



「なんていうか…お前とは男女の友情が成り立つ気がしたから…」


「どうせ私は色気がないですよ!」



と、言ってみたものの、なんかすごい良いことを言われてる?



「わっかんねぇ奴だなぁ〜。俺にとっての女友達ってのはスゲェ存在ってこと!」



そうなんだ…
なんか良く分からないけど、良かった…のかな…



「ま、京都に戻ったら連絡くれ。ほなね〜」

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