《MUMEI》
11月5日午後8時
痛みはまだ消えない。

あの日から3ヶ月と2日

私はまだ

タカシを愛している。





「月井さん、どうしたの?疲れた?」
人事担当の鈴木さんが、私のそばにやって来て顔を覗き込んだ。

「無理して飲まなくていいよ。楽しくやろう〜」 鈴木さんはビール瓶を掲げ、ニヤニヤしながら離れていった。


一泊二日のプログラムで行われる、内定者たちの社会人研修。

緊張感のとけた酒の席では、数回の内定者懇親会で打ち解けた面々が楽しそうに語り合っていた。
気の合う仲間同士で作られた輪が、宴会場にいくつも出来ているのを、私は離れて見ていた。


「月井さんは、こういうの苦手??俺…苦手なんだ」
内定者の一人の、渡辺くんがウーロン茶の入ったグラスを片手にやって来た。
彼は、一回目の懇親会のときに私に話しかけてきた内定者だった。

「なんかさ…居場所なくて…入りづらいっていうか…そもそも、店舗職だから同期とか…直接関係ないよね」

渡辺くんはチラッと私の表情をうかがって、グラスに口をつけた。私の言葉を待っていた。

私は少しうつむいた。肩までのびた黒い髪が揺れる。

「月井さんって…この近くに住んでるんだっけ?」
渡辺くんは、私の持っている

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