《MUMEI》
久しぶりに…
「てか、もうすぐ夏休みじゃん」

昴は自分の部屋にあるカレンダーを見ながら言った。


雅史はあれから5日間、
昴の前に現れていない。


みんなの前では「あいつが来なくなってせいせいしたよ」って言ってるけど、内心寂しかった。



惚れた理由はわからない。
昴は雅史に恋をしている。



「なんで恋をするのかねぇ…、今まで恋に無関心だったのに」

昴はため息をついた。






次の日。
昴はケータイをいじりながら学校に向かっていた。


…今日も来ないんかな、
あいつ。


そう思っていた時だった。




「昴ちゃん♪」



…この声は!?


昴は振り返った。
そこには微笑んで手を振っている雅史の姿があった。


「よぉ…」


昴は軽く会釈した。


「わりぃな、実はおふくろが倒れてさぁ。」

「それで?」

「会えなかったから寂しくなかったかなぁて(笑)」

「っなわけないじゃん!」
…ホントは少し寂しかった。


昴は強く言った。
雅史は白い歯を見せて笑っていた。


「ところであんたのお母さん大丈夫なの?」
「おー、大丈夫」

「そう」

「今日はやけに素直だな♪」

「えっ?」


昴は首を傾げた。


「だって前なんかはすぐ逃げてたじゃん」


…まぁ、確かに。


昴は下を向いた。
雅史は下から昴の顔を覗き込んだ。
その瞬間、
昴はびくっとして後ろに下がった。


「な、何?」


昴は顔を赤らめて言った。
雅史はいきなり吹き出した。


「ちょっ、何がおかしいの!?」

「いやっ…、めっちゃ可愛いて思ってさぁ」

「はぁ…」

「昴はさぁ、自分のこと可愛いって思ったことないの?」

「ないし」

「ふーん」

雅史はその場に座り込んだ。

「てかぁ、めっちゃ暑いし」

雅史はため息をして言った。

「まぁ、確かに」

昴は素っ気ない返事をした。



…ん?



昴は雅史を見ておかしいと思った。
雅史の目線は昴の下半身に向けられていた。



「脚めっちゃ綺麗♪」

「はぁ!??」

昴は自分の脚を見た。


「チョー細いし、白くて綺麗。紺のソックスもそそるな♪」


雅史はニヤニヤして言った。
昴は脚を手で隠した。
だが、手だけじゃ到底隠し切れない。

昴の顔はどんどん赤くなっていった。


「ばっかじゃないの!??変態!」

「また照れてる。可愛い♪」

「もぅ!」

「今日のパンツピンクだろ?」

「えっ?なんで知ってんの?」


昴は顔を引き付かせながら言った。
昴は一瞬、キモいと思った。


「だって、ブラがピンクだから。夏服だから若干透けて見える」


雅史は昴の胸に指差して言った。
昴は雅史を睨み付けた。


「1000回死んでこい!!セクハラじじぃ!!」


昴は雅史に怒鳴り付けて、
前を向いて歩き出した。

後ろからは雅史の笑い声が聞こえる。
その笑い声を聞いてもの凄く腹が立った。



…くそがぁ、
なんであんな奴のこと好きになったのよ!
自分が情けない…。



だが、昴の中では嫌いにはなれないでいた。

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