《MUMEI》
いただきます
 清々しい朝だった。
 雲一つ無い快晴で、真っ青な空に美味しい空気が最高の朝食だ。
「さて、飯だ飯」
 やはり景色と空気だけでは男子中学生の腹は満たせないようだ。一条史ノ乃は一度大きく背筋を伸ばし、肺いっぱいに新鮮な空気を取り込んでから制服に着替え、階段を下りた。
「おはよ」
「あら史ノ乃。最近は早いわね?」
「こっちに来てから寝付きも目覚めも良くてさ。それに、今日から新しい学校だから遅刻もできないしね」
 トーストをかじりながら新しい学校へ不安と期待を踊らせる。父との離婚を期に母の実家である大河内村に引っ越してきて最初の登校だ。生徒人数こそ少ないが校舎はそれなりの大きさがあるらしい。しかしそんなことはどうでも良かった。
 重要なのはどんな人がいるかだ。友達は出来るか、可愛い子はいるか、もしかして彼女ができたり――。
 そんな妄想や空想を描きながらトーストを口いっぱいに詰め込み苦いコーヒーで流し込む。コーヒーの熱さと苦味で一気に目は覚め、俺の学校への期待は更に高まっていった。

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