《MUMEI》 移動する直前。 チラッと見た神君は、やっぱり『赤』だった。 (監視なんて必要無いのに) 私は、他に行くあてなど無かった。 それなのに、神君が私に付いてくる理由がわからなかった。 『一体、どうされた?主?』 「面倒な役目にいらついているだけだ」 寝所に戻った神は、明らかに不機嫌で、『姫』は驚いていた。 かつて、主が、神が感情をあらわにするところなど、『姫』は見た事が無かった。 神の脳裏に浮かんだのは、ゆきと晶の親しげな姿だった。 ゆきを見ていて気付いた事は ゆきは、他の男の『守護神』を警戒しており 神に対しては、そこまでの嫌悪は無くても、他人行儀でよそよそしかった。 (なのに…) 『剣』の分身とわかっていても、晶という男にだけなつくゆきの姿を見ると、神はイライラしていた。 神の『赤』は そんな『嫉妬』の現れだったが、本人には全く自覚は無かった。 前へ |次へ |
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