《MUMEI》 世話役翌朝。 「あ、また自分でやってる!」 「…ごめんなさい。でも…」 自分の洗濯物を干しながら、私は駆け寄ってきた和服の女性に謝った。 「もぅ、…あなたは、『守護神』なんだからね」 「だって、いつも自分でやってたし…やっぱり恥ずかしいし、下着とか」 うつむく私に女性はため息をついた。 「これじゃ、私の仕事が無いんだけど」 女性は、私の身の回りの世話をするために、存在する 『世話役』だった。 「紗己(さき)さんには、いつも、晶の服を選んでもらってるし」 それだけで、私は十分だった。 離れで出される食事は美味しいし、栄養バランスも完璧だった。 「…もっとわがまま言っていいのよ? 他の方々のように」 紗己さんは、優しく話しかけた。 他の、四人は偏食家で、好き嫌いが激しくて、通常の食事をあっさり食べた事はなかった。 翔子さんは、一度着た服は下着も含めて二度と着ないから、毎日高価な服を注文している。 他の三人に至っては… 洗濯から身支度から… ―性的処理の相手まで『世話役』がしていると聞いて、私は耳を疑ってしまった。 「ありがとう、紗己さん」 私は、紗己さんに笑顔でお礼を言った。 前へ |次へ |
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