《MUMEI》

紗己さんはいつも『緑』で、穏やかで落ち着いていて、一緒にいると安心できた。

最初紗己さんは敬語だったが、私は年も近いから、普通に話してほしいとお願いした。

紗己さんは驚いていたが、すぐに切りかえてくれて、私はとても嬉しかった。

『世話役』というより、友達のように感じていた。

「じゃあ、たまには私のわがままに付き合ってくれる?」

「え?」

紗己さんは、私の手をとり、歩き始めた。

『どちらへ?』

晶が合流した。

…私は晶に洗濯物(特に下着)を見られたく無いから、洗濯をしている時は少し離れるように、頼んでいた。

「ん? ご主人様の着替えだよ。
皆、待ってる」

(え?)

着替え?

皆?

私と晶は、首を傾げた。

「ねぇ、晶君。君がいつもそんなにかっこいい服装なのに、ご主人様がいつも似たような洋服じゃ、かわいそうでしょ。

…女の子なんだから」

『そういうものですか?』
晶はいつも同じ服装の『姫』や紗己さんばかり見ているから、ピンと来なかったらしい。

「だからね」

そう言って、紗己さんは部屋を開けた。

中には…

私と同年代の、数人の使用人の女性がいた。

「私達に任せてね?」

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