《MUMEI》
白い背中
「…え?」

私は思わず振り返った。

入口の障子は開いていて、
「何て格好してる」

神君と『姫』が、そこに立っていた。

私は下着姿で ブラのホックも外れていた。

「ゆき様は、着替えの最中です。
外に晶様がいらっしゃったはずですが?」

悲鳴も出ないほど驚いてしゃがみこんだ私を隠すように、紗己さんが私の前に立った。

「大丈夫ですか?」

他の女の子達が洋服を持って私に近付いてきた。

私は、震えながら何とか頷いた。

『主!』

晶が神君の横をすり抜けて、私の横に来た。

「晶…どこ、行ってたの?」

私は晶の袖を掴んだ。

『申し訳ございません。先程、通りかかった使用人に用を頼まれまして

ほんの僅かな間に、このような事態になるとは…』

晶が上着をはおっただけの私をきつく抱き締めた。

「丁度いい。今からゆきを正装させろ」

「今から、ですか?」

神君の言葉に紗己さんが驚いた。

「そうだ。
『あの方』の元へ、ゆきを連れていく。

急げ。

さっさと離れろ」

神君は私達を睨んだ。

ものすごい『赤』だった。
「今、仕事って…」

「これも、仕事だ。支度を急げ」

そう言って、神君と『姫』は出ていった

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