《MUMEI》
夜はこれから
店が終わりすぐさま私は司に電話をした。今かけなきゃ、シラフに戻ったら緊張しすぎて電話なんか絶対できない。
するなら酔っぱらってる今しかない。
番号をうち間違いがないか確認。
よし、かけるぞ…
プルルルル、プルルルル
「はい〜」
で、出たっ
「あっ、うちだよ、ヨシカだよ!これうちの番号だから登録しといて〜」
そして電話を切った。よし、これでいい。
私と司を繋ぐものができた。酒がいい感じに効いてる。気持ちいい!
深夜3時、なんかまだドキドキして眠れそうもないよ。帰宅した私は携帯を取り出し電話をかけた。
相手は隣りの市に住んでる男友達の博文。
「もっし〜?何してんのー?暇なら遊ぼうぜぇ!」
と、深夜3時に非常識極まりない誘いをする。だがさすが博文。
「今、後輩達と暇してたとこ。今から行くよ!」
私はギャル服を脱ぎ捨て寒さ対策にスウェット上下に着替え博文が着くのを待つ。
博文は店で出会ったのだが年が同い年で地元も近かったためすぐ仲良くなり、恋の相談をうけたりと飾らず気も使わない何でも話せるヤツだ。
15分くらいだって博文から電話がきた。
「着いたよ!」
電話を切ると私は家を出た。私が住むマンションの下には大きな公園があってよくたまり場にしていた。途中コンビニに寄ってジュースとタバコを買い、下の公園に向かう。公園には原チャリ数台が置いてあり、博文と後輩たちがタバコを吸ったり原チャリにまたがっておしゃべりしてた。
「おいーっす!」
私は彼らに混じりたわいもないおしゃべりに参加する。
すると私の携帯が鳴る。
こんな夜中に誰だよ〜
と、自分の事は棚にあげて携帯の着信を見る。
…司だッァァ
どうしたんだろう?
私はみんなから離れ電話に出る。
「もしもし?」
「あッ、俺だけど今なにやってんの?」
どうしよう、何て言おう…
「何もしてないよ〜」
嘘ついちゃったャ
「これから遊ばない?店でおまえの左隣りにいたヤツいるじゃん?孝太っていうんだけど今から孝太といくよ!」
まじでヒあっ、博文たちどうしよ…
でもこんなチャンスないかも…
私は迷わず
「わかった!待ってるね!着いたら電話してぇ」
私は焦った感じで博文たちのところに戻り、
「ゴメン!急に先輩に呼ばれて行かなきゃまずいっぽいォ」
と申し訳なさそうに博文に言った。
「え〜、まじかよ〜」
とふてくされながらしぶしぶ原チャリでブーンと帰っていった…
ゴメンね、私の一世一代の恋のチャンスなんだよ!わかってくれ〜と心の中で懺悔しつつ急いで家に帰り化粧直しをして司からの電話を待つ。
今日会ったばかりなのに私は完全に司を好きになってる!
そして今から会えるんだ!まだまだ夜はこれから!

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