《MUMEI》

クリスマスパーティーは結局クラス単位の大人数になった。
俺もいきなり二人きりだと緊張するし、皆でワイワイするのも初めてだから楽しみだ。

七生とその友達の数人で企画したらどんどん膨らんでいったらしい。
多分、東屋が女子と触れ合いたいからだ。

『午後5時半からか一時間くらい遅刻するかも。』

七生の声は電話越しだと最高に色香がある。

「そっかー、分かった。あのさ、乙矢も参加するって。」


『なんでだ……!』

叫ばれてキーンとなった。

「……何、急に大声で」

『乙矢は来なくてい……いや、呼ぶ、呼ぼう!』

分からんな……。

「乙矢と喧嘩は止めてね。俺は慣れてても、周りの女子もいるからね。」

『当たり前だし!分かってるし!』

切られた……
通話時間を確認してから携帯を充電しておく。


「七生君?」

母さんが扉の隙間から覗いていた。

「うわ、怖いよそれ。
七生と話してたよ。どうかしたの?」

「彼女でも出来たのかなって……」

鋭いな……。

「そんな筈ないじゃん……やだなあ……。」

七生と付き合っているとは言えない……!

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