《MUMEI》
もう一人の守護神
「お待たせしました。
あの…これから、どうやって行くんですか?」

瞬間移動は、一度行った場所か、危険区域にしか行く事はできなかった。

「掴まれ。俺と『姫』なら、連れていける」

「あ、はい」

私は『姫』に歩み寄った。

『小娘は、主に。妾は小娘の分身を連れていく。

それが当たり前であろう?』

「はぁ…」

私は、振り返り恐る恐る神君に近付いた。

「お願い、します」

頭を下げてゆっくりと神君に手を伸ばした。

「しっかり掴まれ」

「あっ…」

神君が私を引っ張り、抱き締めた。

「あ、あの…」

「いつもあいつとやってることだろう。

大人しくしてろ

…行くぞ」

そう言って、私達は一瞬にして、ある、屋敷の入口に辿り着いた。

『我らも行くぞ』

『…』

追いかける形で、『姫』と晶も移動した。

「ありがとう…ございました」

私は、神君から離れようとした。

「思ったより、小さいな」
「どうせ、チビですから。…離して下さい」

私は頬を膨らませて、神君を睨んだ。

「だが、意外と出るとこは出てるな」

(!)

『お待たせしました、主。
ありがとうございました、当主』

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