《MUMEI》
「隆志は?」
「は、隆志なんてもう何とも想ってねーし」
「本当?」
「本当だよ」
何故だかいきなり胸が苦しくなってきた!
クソ〜!
カツで胸焼けか!?
「…そう、なら良いけどさ…」
「何言ってんだよ!つか全然忘れてたし〜!」
「うん、ごめん」
「いや、誤んなくても…ハハハハッ」
俺は立ち上がり冷蔵庫からビールを二本出した。
なんだろ…苦しい、
苦しい
…苦しい…。
「今度紹介しろよ?見定めてやる」
「え?イヤだね!取られるもん!」
裕斗は、はあ?と言いたげに
「マジで言ってんの?」
「いや…嘘…ごめん」
いつも真剣に俺の事考えて心配してくれる親友。
彼だけにはちょっと冗談やにくまれ口叩くの控えなきゃと…反省。
「聞いてみる」
「うん」
裕斗はニッコリ笑って俺の頭をナデナデ。
本当は俺、お前の事好きな時期あったんだぞ?
普段はめっちゃ格好良いのに、笑ったりとか仕草が変に可愛いくてゾクゾクしてドキドキした。
思わず可愛いって漏らしたら年下の可愛い子にまで言われた〜!
って苦笑いしてたっけ。
まあ、そんなに話した事ない頃だったから裕斗は覚えちゃいないだろうけど。
今だってちょっとした仕草に胸の奥を掴まれる。
…言わないけどな。
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