《MUMEI》 証「ゆきは、御剣の『守護神』です。 剣の分身もおりますし、既に仕事もこなしております。 今日は、ゆきを新しい御剣の『守護神』として紹介する為に、ここに参ったのです」 神君の言葉に、神音様は首を横に振った。 「あなたは、…ゆきと言うの?」 「はい」 私が頷くと、 「そういえば、あなたが消えた日に『雪』が降っていたそうね」 「私の名前の由来は、私が、亡くなった義理の母に拾われた日に雪が降っていて この…晶の額にあるのと同じ、雪の結晶のようなあざが私の左手にあったからだと聞いています」 私の言葉に、神音様は晶を見つめた。 晶は無言で前髪をかきあげ、額のあざを神音様に見せた。 「そう。ねぇ、ゆき。 ゆきは、この家の事を、御鏡の事を知っている?」 私は、首を横に振った。 「そう。 何も知らされず、御剣にいたのね。 神楽…様が、そうしていたのね、きっと。 ここへ来たのは、神様の意志でしょう?」 神音様の質問に、神君は頷いた。 「では、話しましょう。…いらっしゃい」 神音様は優しく私の手を引いた。 私は素直にそれに従った。 神音様の温かい心を、私は感じていた。 前へ |次へ |
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