《MUMEI》
いただきます
 落ちてきた。いや、落ちてくる。三階建て以上の物件がないこの村で、十メートルほどの高さから女の子が手足をばたつかせて落ちてくるのだ。「きゃーたすけてなのだぁー」と言いながら、青天の空には飛行機も見当たらない。「たすけてなのだぁー」と言われても状況を理解したときには少女は頭上三メートルくらいの高さにいて、そこからどうすれば良いかを考え付くまでには時間が足りなかった。
「どいてなのだー!!」
「うわぁ!?」
 ズドーン! と、天から現われた少女は史ノ乃の上に着弾した。
「痛っ、たたたぁ……大丈夫ですか?」
「…………」
「いやぁー! 死なないでなのだー」
 死んでない。と思うけどわからない。もしかしたら死んでるのかも。人間が空から落ちてきてそれに潰されたら、もしかしたらもしかするかもしれない。
「……ぐほっ、がはっ、どうにか……大丈夫」
 地面に叩付けられ詰まっていた息をどうにか取り戻す。落ちてきた本人がなんともないのが実に忌々しい。
 ああ忌々しい、忌々しいったら忌々しい。
 それでもかなりの高さから落ちてきたのだ。女の子ということもあったので一応心配の声をかける。

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