《MUMEI》 双子A「メシ」 「できてるよ。お疲れ。テレビ見たよ。今回のもいい曲だね」 「まぁな。オレが歌ってるんだから当然だ」 「そうだよね」 弟の有理は気が強い。どちらかと言えばオレ様寄りの性格。 兄の流理は優しい性格。お人好しで頼まれたら何も断われない。 スカウトされたのは有理だった。すぐに頭角を現し、あっという間にトップアイドルにまで昇りつめていた。 一方、流理は高校へ上がると同時に前髪を下ろし、伊達メガネをかけた。 別の中学に行っていた有理は高校進学をあきらめた。あまりの忙しさに、最終的に決断した結果だった。 「流理、学校の話、してよ」 だからなのか、有理は学校の話を聞きたがる。 「……うん。今日は校内弁論大会の代表を決めたよ。各クラスからひとりずつ出られるんだ」 「で?流理は?」 「…なったよ、代表」 「すげぇじゃん。どんなの書いたんだよ」 「秘密。絶対教えない」 有理は小さく舌打ちをした。 「絶対に原稿探して読んでやる」 「無理だよ。学校にあるからね」 この時、有理の中に悪だくみが浮かんできたのは言うまでもない。 前へ |次へ |
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