《MUMEI》
鈴木の愚痴
詩織さんのことをウザイと言った鈴木は更に続ける。


「この間の一件で自分が優位に立ったって勘違いしてんのか、勝手に携帯チェックしてたり、決まった時間に連絡がないとストーカーのように着信あるし……」



こんな調子で鈴木の愚痴は延々と続く。




「たしかに、そんなに縛られたらウザイって思うかもねぇ〜」


「だろっ!!」


味方を見つけたかのように嬉しそうに鈴木は言う。


「俺は浮気しないって約束したんだから信じて欲しいだけなのに…」


「それ、そのまんま言えばいいじゃん」


愚痴を聞くのも疲れてきて相づちも適当になる。


「何回も言った!!でも言うたびに信じられないとか言って、別れをちらつかせてさ。何様だよっ!」


あんたもね。とはさすがに言えなかった。


「でも詩織さんは別れるつもりないんでしょ?」


「そっ!!ただ俺に危機感を与えて思い通りに動かしたいだけなんだよ」


女心をお見通しなんだね。

「で?腹が立つと?」


「正直、疲れた…今の俺には誠意を見せ続けることしか出来ないからさ…それを毎度疑われて疲れる…」


へ〜。男も大変なんだ。


「だから少し冷静になってもらいたくて、この間から距離を置くことにした」


なるほどね〜


「それで私は暇つぶしってわけね」


「そういうこと。お前なら浮気の心配ないからな」


なっ、なぬぅーっ!!
どういう意味よっ!
本当に失礼極まりない。


「こちらこそ、鈴木なんてごめんだわ!」




そうは言ったもの、実はショックだなんて絶対に言えない…

はぁ〜、すっごいムカつくのに…なぜか縁を切ることできないんだよねぇ…

トホホ…

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