《MUMEI》
学校 〈おれ〉
さすがに、早い電車で来ただけあって
学校に着くまで
同じ学校のやつはほとんど見かけなかった。



ドアを開けて教室に入ると、
おれが一番乗りだったらしく、誰もいなかった。



かばんを置いて席に着く。



すると、ガラガラとドアの開く音がした。
蓬田、着いたのか。



振り返ると、



「かなめ〜!!!!」



という叫び声と共に、そいつが飛びついてきた。



「―っわ!!」


「もう!!心配したんだよ!?
事故に遭ったって聞いて…
あんたメールも帰さないし!」



…だれ??



「…でも、お見舞いいけなくてごめんね…
九州の親戚のとこに行ってて…」



そう言いながらおれから体を離したそいつを、
まじまじと見つめる。




「……青木??」




そいつは、同じクラスの青木だった。


クラスの係りが一緒だから、覚えてる。


おれの言葉に驚いたように目を丸くすると、
青木は口を開いた。



「…何、その呼び方??
―…ってか、そこ、椎名君の席でしょう??」


「え??」



―…青木の言うとおりだった。


うわ、やべえ!!



おれは慌てて椅子から立ち上がると、
愛想笑いを浮かべた。


―…蓬田、早く来い〜!!!

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