《MUMEI》 資格「本当に良かったわ、あなたの御鏡の力が残っていて。 あなたの、体が汚されていなくて」 「え?」 私は神音様を見つめた。 「あの、…それって」 「御鏡の女はね、男と交わると、力が弱まってしまうのよ。 最悪、失う場合もあるわ。 だから、当主や仕事をこなす人間は、清いままでいなければならないの。 子供を生むのは、元々力が弱い女だけなの」 「じゃあ、母も…?」 力が弱かったのだろうか。 「とんでもない!」 私の質問に、神音様は大きく首を横に振った。 「神那お姉さまほど、力の強い御鏡の『守護神』は、今までいなかったのよ! それを、あの男が… …失礼」 神音様は神君を見た。 『あの男』とは、私の父で、御剣の直系で、『守護神』だったから。 「…いえ」 神君は表情を変えなかった。 しかし、この部屋に入ってから、神君はずっと『赤』だった。 それは、神音様もわかっていたと思う。 神音様は、一つ咳払いをして、改めて続きを話し始めた。 「風の『守護神』の神尉様が、神那お姉さまを気に入ってしまって… 両家の反対を押し切って、神那お姉さまを、風を使ってここからさらってしまったのよ」 前へ |次へ |
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