|
《MUMEI》 美樹の結論「また洋平君だけか…」 美樹が眉を潜めて言う。 「原田美和子の姿を見たのも、洋平君だけだったでしょう？ それで思ったんだけど、彼女の姿を見れたのって、あの時洋平君が井上君に触れてたからじゃないのかなって…。」 「何それ？どういう事？」 司は興味あり気に、美樹の解釈に耳を貸す。 洋平も顔は引き攣っているものの、やはり興味があった。 実のところ、昨日ｱﾊﾟｰﾄで美樹がその話題に触れた時から、洋平も色々考えてはいたのだ。 全く答えは出なかったが… 「洋平君が井上君を取り押さえてた時の事を思い出してみて。 洋平君が彼女を見たのって、ほんの僅かな間だったでしょ？」 「そう言えば…。お前途中から『消えた』とか言ってたよな？」 「ん？あぁ、突然いなくなったんだよ。」 「その時って、洋平君が井上君に振り払われた時だったじゃない？ と言う事は、洋平が原田美和子を見たのは、井上君を拘束している間…つまり、井上君に触れている間だけだった。 だから、実際は消えたんじゃなくて、見えなくなっただけ。その証拠に、洋平君が見えなくなった後も、井上君は怯えていた…。」 自分の考えを言い切った美樹は、疲れた様に「ふぅ…」と深いため息をついた。 前へ |次へ |
|
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |