《MUMEI》

つまり、私の両親は、駆け落ちしたのだ。

「そして、神那お姉さまは、当主の資格を失った」

それは、父と母が結ばれたという意味だった。

「それは、どうやってわかったんですか?」

「これよ」

神音様は、前髪をかきあげて、額を見せた。

「それ、…は?」

神音様の額の中心に、真珠のような宝石が埋まっていた。

「これは、当主―御鏡の『守護神』力を高める秘宝で、『宝玉(ほうぎょく)』というのよ。

これが現れるのは、一族で、一人だけ。

当主の資格を持つ者のみなの。

神那お姉さまが失踪する少し前に、前当主の額から消滅した宝玉は、神那お姉さまの額に現れていたわ。

神那お姉さまは、そのまま当主になる予定だった。

なのに、神那お姉さまがいなくなってすぐに、私に宝玉が現れた。

それは、神那お姉さまの当主としての力が失われてしまった事を意味するの。

もし、前の資格を持つ者が亡くなった場合は、宝玉は、しばらく『青』になっているはずだけど、私の額に現れたのは、今と同じ『白』の宝玉だったわ。

だから…」

『父と母が結ばれたのだ』
と神音様は、言いたくないようで、そこで話を止めた。

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