《MUMEI》 ◇◆◇ 「気になる事‥?」 こくりと頷き、胡蝶は風の方角を示した。 「風が‥」 「風?」 「不思議な感じがして‥」 「確かに、いつもと違うよな」 朱雀は徐に頷いた。 ふわり。 どこからともなく、招くように吹いてくる、風。 胡蝶はその方角へ歩き出した。 「おい、胡蝶」 「どこへ行くの?」 朱雀に続いて青龍が後を追いつつ尋ねると、胡蝶は前方を見据えたまま呟いた。 「この風‥‥もしかしたら‥」 「あ、胡蝶‥待って!」 青龍が止めるのも聞かず、胡蝶は風の吹く方角へ向かって歩き出した。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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