《MUMEI》
偽名
「待ってください」
「何ですか・・・?」
「ちょっと・・こちらに・・」
「はい・・まだ他にも何かあるんですか?」
「使(つかい)です」
「使?」
「薬を購入された方に使が憑きます。今回は初めてのご利用なので・・こちらが決めた使になりますが・・よろしいですか?」
「はい・・・」
「使は・・姿は人間です。だからといって人間とは違います。使は薬のuserしか見えません。そして声も聞こえませんから、注意してください」
「分かりました」
「でも、使に言えば、いつでもすぐに誰からでも見える姿に変わることが出来ます」
「でも、そうしたら突然現れたと思われて怪しまれる可能性が・・」
「大丈夫です。使を見えるようにした瞬間、使が動きやすい程度に関係者の過去に使がいたように記憶を操れるのです。だから、心配ありません」
「分かりました」
「山本 健一(やまもと けんいち)・・」
「はい・・・」
「今日から、健一のuserになる方だ」
「私は・・山本 健一です」
 中学生くらいの男の人・・。
「これが・・使?」
 本当に人間そっくりだった。

「よろしくお願いします」
「はぁ・・・」




 部屋の机に座る。
「健一はいすにすわって・・」
「えっ、でも・・・」
「いいから」
「ありがとう」
「健一に名前をつけようと思うの!!」
「名前?人間界で過ごすための?」
「そう」
「名前は?」
「原田 大翔(はらだ ひろと)!!どう?」
「ありがとう」


「私が買ったときの男の人・・の名前・・偽名でしょ」
「・・・・何で?」
「掟本(ルールブック)の中に・・薬の売人や使は殺せないって書いてあるから・・」
「でも何で?」
「使が殺せないのはしょうがないと思うけど・・売人だって人間だから・・名前を知られれば殺されてしまうはずでしょう・・・・」
「偽名だよ。でも、本名で言ったところで売人は殺せないから・・」
「何で?」
「そういうシステムなんだ」
「そう・・・・」
「俺は、幸せものだ。お前に貰ってもらってよかった。だって、お前人一倍頭良いんだもん」
「良く言われる」
「可愛げないよな」
「誰がよ」
「お前が!!」
「はぁ??使に言われる筋合いねぇ!!」

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