《MUMEI》 後悔御鏡に渡したくなかった。 遠くに行くなんて、許せなかった。 ゆきは、御剣の 自分のものだと、神は思った。 ゆきが御鏡に行こうとしているのはわかっていたから。 だから、焦って 御鏡の資格を奪う為に ゆきを、抱いた。 しかし、それはただの口実で、神はゆきの白い背中を見た時から、ゆきを自分のものにしたかった。 抵抗して、泣きじゃくるゆきを、無理矢理抱いた時 体は確かに満たされた。 しかし、どこか心に虚しさが残った。 それでも、この時は、神はこう思っていた。 『女など、抱いてしまえば後でどうとでもなる』 ―と。 今までの女がそうだったから。 しかし、これから先、神は、この時の自分の安易な行為を後悔した。 ゆきを他の今までの女と同じように、扱ってしまい、取り返しのつかない過ちを犯してしまった事に、この時の神は、まだ気付いていなかった。 前へ |次へ |
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