《MUMEI》
進化と消滅
『主?』

自分の袖を確かに掴んでいたゆきの姿が突然消えた事に、晶は戸惑っていた。

しかも、ゆきの肩に手を置いた神の姿も見当たらない。

『…おい』

晶は、『姫』に話しかけた。

『何じゃ』

神とゆきが目の前から消えたというのに、『姫』は冷静だった。

『…謀ったな』

『姫』の様子から、晶は自分達が罠にかかった事に気付いた。

自分とゆきを引き離し、神が何をしようとしているのか、晶はすぐにわかった。
『主をどこへやった?』

『妾とお主が決して辿りつけぬ空間へ』

次の瞬間。

晶は『姫』の首を絞めていた。

『死にたく無ければ、主を戻せ』

『妾達が死ぬなど…っ…』
『姫』は苦痛に顔を歪めた。

『主の為なら、…』

普通なら、そんな事できるはずは無いと『姫』は言えた。

しかし、晶は今までの分身とは、明らかに違っていた。

もしかしたら、できるかもしれないと、『姫』は恐怖した。

『…もしっ…妾が殺されて…も、主は小娘を、開放したりは…せぬぞ』

『姫』は苦しそうに訴えた。

『何故だ』

晶は『姫』から手を離した。

『姫』は、息を整えると、説明を始めた。

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