《MUMEI》 金と銀脱いだ着物を再び身につけた神は、気絶したゆきに歩み寄った。 涙で濡れた顔。 汗と唾液と精液で汚れた体には、神が付けた跡がところどころ残っていた。 そして、下半身からは、確かに初めてだった証の血液が流れ出ていた。 神はまず、手首を縛っていた帯をほどいた。 激しく抵抗した為に、そこも血がにじんでいた。 罪悪感にかられながら、神はゆきの頬にそっと触れた。 「…熱っ?」 頬の熱さに、神は驚いた。 物凄い高熱に、ゆきはうなされていた。 神はゆきに着物を着せると、抱き上げた。 神が念じると、寝室だったその部屋は、再び何もない畳の間になった。 特殊空間から、元の空間に戻って来たのだ。 そして、神はそこで起き上がろうとしている者の姿に、目を疑った。 金色の目と髪を持つ、よく知る気配の者。 「『姫』なのか?」 「主?」 神に質問された相手も目を見開いて、驚いていた。 二人は同時に質問した。 「「その姿は?」」 ―と。 その時。 「う…」 神の腕の中で眠るゆきが、うめき声を上げた。 「とにかく、こっちが先だ。離れに連れて行くぞ」 「はい」 神と『姫』だった者は、離れに向かった。 前へ |次へ |
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