《MUMEI》 外はすっかり暗くなっていた。 離れに着いた神は、紗己を見つけ、呼び止めた。 何故か紗己は、不審そうな目で神と『姫』を見つめたが、ゆきの様子を見て、すぐに対応を始めた。 「誰が、こんな酷い事を…」 ゆきの体を見て、紗己の拳が怒りに震えていた。 「酷い?」 「だってそうでしょう?! どう見たって、無理矢理じゃない! 大体、あなた方は『どこの誰』なの?!」 「何、だと?」 掴みかかってきた紗己の言葉に、神は驚いた。 ゆきの精気で力を得た『姫』が『あの姿』になって、人の目に映るようになったのだろうから、紗己が『姫』を『どこの誰』と言うのは、わかる。 しかし、紗己は『あなた方』と言った。 「そのあざ…晶君の関係者? 主人がこんな事になっているのに、晶君はどこに行ったの?!」 呆然とする神に向かって、尚も紗己は怒鳴り続けた。 「あざ?」 神は、紗己を振りほどき、部屋に置いてある手鏡を手にとって、自分の顔を見た。 「何だ、これは…」 鏡に映る神の髪と瞳は… 銀色だった。 そして、神の額には、晶と同じ雪の結晶によく似たあざが浮かび上がっていた。 「答えなさいよ!」 前へ |次へ |
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