《MUMEI》

「やっと会えましたね。来るたびに窓から逃げられるから困ってましたよ。」

いつも窓から逃げてたんだ…っていやいや死にますから。


「では今月分いや1年分の家賃いただきましょうか。」

ゆっくり探し屋に突き出した手は細くて小さいのに、すごい存在感を放っていた。


私はおそるおそる大原さんにしゃべりかけた。

「あーあの…大原さん?」
「なんでしょうか?」

「部外者の私…って私、探し屋の依頼者の佐川加恋っていうんですけど、もうちょっと待ってもらえないでしょうか?」

「もう1年も待ってるんですよ。」

「もうちょっとだけ…。」

「部外者のアナタは関係ありませんから黙ってもらえます?」

やわらかい口調だけど、きっぱりしたような言い方に何も言えなくなった。

それに黒い笑顔に恐怖を覚えた。


「さぁ早く。稲葉さん。」

ジリジリと大原さんは探し屋に詰め寄っていく。


それとともに探し屋も後ろへ後退していく。


すると

「行くよ!」


「えっ!?」


急に私は手を引っ張られた。

そして気付いたときには…




「ギャー!!!!!!」














宙に浮いていた。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫